肘の疾患

肘の疾患名と症状一覧
疾患名 | 主な症状・特徴 |
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1.内側側副靱帯(UCL)損傷〈投球障害〉 | 投球時の肘の内側痛・ボールに力が入らない |
2.上腕骨小頭離断性骨軟骨炎〈野球肘〉 | 成長期の投手で肘外側が痛む・伸ばしきれない |
3.リトルリーグエルボー(内側裂離/骨端線障害) | 小中学生の投球で肘内側が腫れる・投げにくい |
4.上腕骨外側上顆炎(テニス肘) | 物をつかんで捻る・ラケットを振ると肘の外側がズキッと痛む |
5.上腕骨内側上顆炎(ゴルフ肘) | ドアノブを回す・ゴルフスイングで肘の内側が響く |
6.肘部管症候群 | 小指~薬指のしびれ・肘を曲げ続けるとジンジン |
7.変形性肘関節症 | 曲げ伸ばしでゴリゴリ音・可動域制限と慢性痛 |
8.肘関節脱臼・不安定症 | 外傷後に肘が外れる感じ・不安定で怖い |
1.内側側副靱帯(UCL)損傷〈投球障害〉
- 病態・原因
野球などの投球動作で肘の内側に強い負担がかかり、靱帯が伸びたり切れたりします。 - 主な症状
投げたときの肘の内側の痛み、力が入りにくい、投球速度が落ちる。 - 検査
肘の安定性を確認する徒手検査、MRIや超音波で靱帯の状態を調べます。 - 治療
軽症は安静とリハビリ。重症や断裂は手術(靱帯再建術)が必要になる場合があります。 - リハビリと予防
フォームの見直し、肩や体幹の筋力強化。投球数を制限することが大切です。 - Q&A
Q: 投げ続けても大丈夫?
A: 投球中の痛みが軽度であれば可能ですが、悪化しやすいので早めに医師に相談してください。
2.上腕骨小頭離断性骨軟骨炎〈野球肘〉
- 病態・原因
肘の外側に繰り返しの負担がかかり、軟骨や骨が傷んで剥がれてしまいます。成長期に多くみられます。 - 主な症状
肘の外側の痛み、ひっかかり感、動かしにくさ。 - 検査
X線、MRI、CTで骨と軟骨の状態を詳しく確認します。 - 治療
早期は投球中止と安静。進行例では関節鏡手術で軟骨を整えることがあります。 - リハビリと予防
投球制限とフォーム改善。早期発見が治療成績に直結します。 - Q&A
Q: 完治すればまた投げられる?
A: 適切に治療すれば再び野球に復帰できます。
3.リトルリーグエルボー(内側裂離/骨端線障害)
- 病態・原因
成長期の子どもで、投げすぎにより肘の内側の骨が引っ張られて障害が起きます。 - 主な症状
肘の内側の痛み、腫れ、投球困難。 - 検査
X線で骨端線の状態を確認。必要に応じMRIを行います。 - 治療
安静と投球制限。重度の裂離は手術になることもあります。 - リハビリと予防
成長期は特に投球数制限と休養が大切です。 - Q&A
Q: 成長すれば自然に治る?
A: 放置すると変形が残ることもあり、早期診断が重要です。
4.上腕骨外側上顆炎(テニス肘)
- 病態・原因
ラケット動作や日常の手の使いすぎで肘外側の腱に炎症が起きます。 - 主な症状
物をつかんで持ち上げるときの外側の痛み。 - 検査
診察と超音波で腱の炎症を確認します。 - 治療
安静、湿布、注射、装具。難治例では手術。 - リハビリと予防
前腕のストレッチと筋力トレーニング。 - Q&A
Q: テニスをやめないと治らない?
A: 使い方を工夫すれば続けながら改善できます。
5.上腕骨内側上顆炎(ゴルフ肘)
- 病態・原因
ゴルフや投球で手首を曲げる筋肉に負担がかかり炎症が起きます。 - 主な症状
肘の内側の痛み、握力低下。 - 検査
触診、超音波で腱の炎症を確認。 - 治療
安静、物理療法、注射。慢性例は手術も検討。 - リハビリと予防
ストレッチとフォーム改善が有効。 - Q&A
Q: ゴルフをやめるべき?
A: 痛みの程度によりますが、多くは続けながら治療可能です。
6.肘部管症候群
- 病態・原因
肘の内側で神経(尺骨神経)が圧迫され、手のしびれや筋力低下が起こります。 - 主な症状
小指と薬指のしびれ、握力低下。 - 検査
神経伝導検査、MRI。 - 治療
軽症は安静と装具。重症例は神経を広げる手術。 - リハビリと予防
肘を曲げすぎない姿勢を意識する。 - Q&A
Q: しびれは治る?
A: 早期治療なら改善しやすいです。
7.変形性肘関節症
- 病態・原因
長年の使いすぎやケガで関節の軟骨がすり減り、変形します。 - 主な症状
肘の痛み、可動域制限、こわばり。 - 検査
X線で変形を確認。 - 治療
鎮痛薬、注射、関節鏡手術、人工関節置換術。 - リハビリと予防
過度な使用を避け、可動域訓練を継続。 - Q&A
Q: 手術すれば治る?
A: 生活の質を改善できますが完全に元通りではありません。
8.肘関節脱臼・不安定症
- 病態・原因
転倒や外傷で肘の骨がずれる、または靱帯が損傷して不安定になります。 - 主な症状
強い痛み、腫れ、肘が動かない。 - 検査
X線、CT、MRIで骨と靱帯の状態を評価。 - 治療
整復後の固定とリハビリ。靱帯損傷が大きければ手術。 - リハビリと予防
早期から可動域訓練を始め、筋力強化で再発予防。 - Q&A
Q: 元通りにスポーツできる?
A: 適切な治療とリハビリで多くの方は復帰可能です。