腱板断裂
病態・原因
肩を動かす 4 本のすじ(腱板)が切れる病気です。転倒や年齢による腱板が損傷することが主な原因です。
腱板(けんばん)は、肩の深いところにある腱で肩を安定するために存在します。この腱板が切れることを、腱板断裂といいます。中高年に多い疾患ですが、若い人でも起こることがあります。
なりやすい年代 | 40歳以上の男性(男62%、女38%) |
発症年齢のピーク | 60代 |
症状 | 肩の運動障害・運動痛・夜間痛 |


腱板が切れる原因
① 外傷性断裂
手をついたりした際に見られる断裂です。
② 変性断裂
年齢を重ねることで見られる断裂です。
40 歳までは 5.1% 、70 歳台では 45.8%、80 歳台では 50%と増加します。
山本敦史.腱板断裂の診断と治療疫学関節外科.2015;
主な症状
- 腕を上げると痛い
- 夜寝ているとズキズキ
- 力が入りにくい。
- 肩の痛み(特に動かしたときや夜間)
- 腕が上がらない、力が入らない
- 肩を動かすとゴリゴリと音がする
- 着替えや洗濯などの動作がつらい
検査
MRIya超音波診断装置(エコー)で断裂を確認できます(図)。
エコーでは当日の診断が可能です。
治療
注射(ステロイドや ヒアルロン酸)・リハビリテーション
症状が軽い場合はリハビリ中心で改善を目指します。若い方の断裂や、リハビリしても症状が残る場合には手術を行います。
手術療法
完全断裂や大きな断裂では、関節鏡手術による腱板修復を行います。放置すると手術が難しくなるため、適切なタイミングが重要です。
まずは痛み止めの注射やリハビリテーションを行い、数ヶ月しても症状が改善しない場合には、手術を行います。
リハビリと予防
温め→ストレッチ→肩甲骨まわり筋トレ。重い荷物や投球は段階的に再開。
スポーツ復帰は?
手術後は4〜6か月が目安です。
日常生活で気をつけること
- 無理に肩を使わない
- 痛みが落ち着いたら、リハビリで柔軟性を保つ
- 早めに専門医の診断を受ける
整形外科専門医からのアドバイス 腱板断裂は、ただの肩こりとは違い、 放置すると回復が難しくなることがあります。 小さな断裂でも、適切な診断とリハビリを行うことで、 手術を避けられるケースもあります。 断裂が大きい場合は、手術のタイミングが回復を左右します。
よくある質問 Q&A
- 手術しないと治らない?
- 小さな断裂なら保存療法だけで良くなる例もあります。完全に切れた腱は自然には戻りません。
- 必ず手術が必要ですか?
- 断裂の大きさや症状、生活スタイルによって異なります。手術しない選択肢もあります。
受診は各医療機関へお問い合わせください