肩の疾患

肩の疾患名と症状一覧

疾患名主な症状・特徴
1.腱板断裂(けんばんだんれつ)腕を上げると痛い/夜寝ているとズキズキ/力が入りにくい
2.凍結肩(40肩・ 50肩・肩関節周囲炎)肩が回らない/夜寝ているとズキズキ/寝返りが辛い
3.肩峰下インピンジメント症候群/肩峰下滑液包炎腕をあげた際に途中で鋭い痛みが出ます。特定の動きで痛みが出ることが特徴です。
4.反復性肩関節脱臼・肩関節不安定症肩が抜けそう/動かすとガクッとズレる感じ/脱臼を何度も繰り返す
5.石灰沈着性腱板炎突然の激しい肩痛/夜も眠れない/腕を動かせない
6.胸郭出口症候群(きょうかくでぐち)肩〜腕のしびれ・だるさ、腕を上げると症状が悪化します。吊り革をもったり、ドライヤーを持つのが辛くなります。
7.変形性肩関節症肩を動かすとゴリゴリ音/慢性的な肩痛/可動域が狭い
8.肩鎖関節変形性関節症鎖骨の端を押すと痛い/物を高い所に上げると痛みがある

1. 腱板断裂(けんばんだんれつ)

  1. 病態・原因 肩を動かす 4 本のすじ(腱板)が切れる病気です。転倒や年齢による腱板が損傷することが主な原因です。
  2. 主な症状 腕を上げると痛い/夜寝ているとズキズキ/力が入りにくい
  3. 検査 MRIや超音波診断装置(エコー)で断裂を確認できます。エコーであれば受診した当日に診断が可能です。
  4. 治療 注射(ステロイドや ヒアルロン酸)、リハビリテーション。 若い方の断裂、リハビリテーションで症状が残る場合に手術を行います
  5. リハビリと予防 ストレッチ→肩まわりの筋トレ。重い荷物や投球は段階的に再開。
  6. Q&A
    • 手術しないと治らない? 保存療法(注射やリハビリ)だけで良くなる例もあります。
    • スポーツ復帰は? 手術後は4〜6か月が目安です。
腱板断裂についてもっと知る

2. 凍結肩(40肩・ 50肩・肩関節周囲炎)

  1. 病態・原因 肩の袋(関節包)が炎症を起こし、かたく縮む病気です。原因ははっきりしていません。中年以降に発生し糖尿病を持つ人に多いです。
  2. 主な症状 肩が回らない/夜寝ているとズキズキ/寝返りが辛い
  3. 検査 単純X 線で他の病気を除外します。超音波(エコー) で腱板断裂や水が溜まっていないかなどを確認。
  4. 治療 注射(ステロイド・ヒアルロン酸)、リハビリテーション、鎮痛剤の内服など。数ヶ月リハビリをしても肩の動きが悪い場合には関節包を切る手術を行います。手術には非観血的授動術(サイレントマニュピレーション)や鏡視下関節包切離術を行います。
  5. リハビリと予防 炎症が落ち着いてからストレッチを少しずつ行なっていきます。
  6. Q&A
    • 治るまでどれくらい? 1〜2 年かかることもあります。治療をすることで期間を短くできます。
    • 動かすと悪化? 痛みのある肩自体を動かすことはお勧めできませんが、の周囲は動かした方が治療が早まります。

3. 肩峰下インピンジメント症候群/肩峰下滑液包炎

  1. 病態・原因 腕を上げたとき、腱板や滑液包が肩峰下と挟まり(インピンジして)痛みを起こします。
  2. 主な症状 腕をあげた際に途中で鋭い痛みが出ます。特定の動きで痛みが出ることが特徴です。
  3. 検査 超音波(エコー)で滑液包の腫れや腱板断裂を確認します。動きを確認して
  4. 治療 滑液包内注射(ステロイド)、リハビリテーションを行います。数ヶ月リハビリをしても痛みが取れない場合、関節鏡手術で肩峰したの骨を削ります。
  5. リハビリと予防 肩甲骨の動きを良くする体操、姿勢矯正、回旋筋トレ。
  6. Q&A
    • 注射で良くなる? 滑液包の炎症が強い場合は改善が見込めますが、挟まりを防がなければ再発するためリハビリテーションが重要です。
    • 手術後の仕事復帰? デスクワークは 2〜4 週、重労働は約 3 か月が目安。

4. 反復性肩関節脱臼・肩関節不安定症

  1. 病態・原因 外傷などで関節のふち(関節唇)がはがれ、肩が外れやすくなる状態。10 代のスポーツ選手に多いです。
  2. 主な症状 肩が抜けそう/動かすとガクッとズレる感じ/脱臼を何度も繰り返す
  3. 検査 MRI 検査で関節唇の損傷や、CT検査 で骨の欠損を確認します。
  4. 治療 初回脱臼はリハビリテーションで経過をみますが。再発しやすい場合や骨欠損が大きい場合は手術を勧めます。手術には鏡視下バンカート修復術が多く行われますが、
  5. 骨欠損が強い場合には烏口突起の移植術や、remplissageを追加します。
  6. リハビリと予防 回旋筋と体幹強化、バランストレーニング。
  7. Q&A
    • 若いと再発率は? 10 代では 50% 以上。手術を勧めることが多いです。
    • 手術後に競技復帰? 6 か月〜10ヶ月(競技により異なります。)

5. 石灰沈着性腱板炎

  1. 病態・原因 腱板内に石灰がたまり、吸収されるときに強い炎症と激痛を起こします。また大きな石灰ができると肩峰下インピンジメントの原因となることがあります。
  2. 主な症状 突然の激しい肩痛/夜も眠れない/腕を動かせない
  3. 検査 X 線や超音波で石灰を確認します。
  4. 治療 痛み止め、超音波ガイド下で石灰を吸引や破砕します。治らない場合には鏡視下手術で除去することもあります。
  5. リハビリと予防 痛みが落ち着いたら可動域訓練→筋トレ。肩甲骨の柔軟性を保つ。
  6. Q&A
    • 石灰は自然に溶ける? 多くは数か月〜数年で吸収されます。
    • 再発は? まれですが再び石灰ができることがあります。

6. 胸郭出口症候群(きょうかくでぐち)

  1. 病態・原因 首から腕に向かう神経や血管が、鎖骨まわりのすじ・肋骨で圧迫される病気。なで肩の女性や重い荷物を持つ方に多いです。
  2. 主な症状 肩〜腕のしびれ・だるさ、腕を上げると症状が悪化します。吊り革をもったり、ドライヤーを持つのが辛くなります。
  3. 検査 超音波や 造影CT検査 で血管の圧迫部位を確認します。
  4. 治療 リハビリーテーション。痛み止めの内服。ブロック注射やボトックス注射など。重症例は手術で肋骨一部切除。
  5. リハビリと予防 背筋を伸ばす習慣、肩甲骨周りを動かす体操、リュックの使用で荷物分散。
  6. Q&A
    • 手術は必要? 多くはリハビリで改善し、手術はごく一部です。
    • デスクワークでも起こる? 姿勢不良で長時間労働で症状が出やすいです。

7. 変形性肩関節症

  1. 病態・原因 軟骨がすり減り、骨が変形する加齢性関節症。スポーツ歴や重労働などの経験や過去のけがも影響します。
  2. 主な症状 肩を動かすとゴリゴリ音/慢性的な肩痛/可動域が狭い
  3. 検査    単純X 線で関節のすき間の狭小や骨棘、MRI で腱板断裂の合併や軟骨の状態を評価します。
  4. 治療    痛み止め、ヒアルロン酸・ステロイド注射、リハビリ。重症例では人工肩関節置換術を行います。
  5. リハビリと予防 体幹・肩甲骨のストレッチ、軽い筋トレ。
  6. Q&A
  • 人工関節の寿命は? 一般的に 15 年以上持ちます。
  • 術後いつから動かせる? 痛みが落ち着けば 1ヶ月で日常生活が可能です。

8. 肩鎖関節変形性関節症

  1. 病態・原因 鎖骨と肩甲骨の間の小さな関節で軟骨がすり減る病気。荷重労働やウェイトトレーニングで発症しやすい。
  2. 主な症状 鎖骨の端を押すと痛い/物を高い所に上げると痛みがある
  3. 検査 触診と 単純X 線で関節の狭小、超音波で滑液包の腫れを確認。
  4. 治療 痛み止め、ステロイド注射。治らない場合は鏡視下手術で鎖骨端を 5〜8 mm 切除。
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